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| 戦場ガ原-せんじょうがはら-のイチゴ山上げ栽培 |
意外に知られていないが、栃木県はイチゴの生産量と作付面積で全国一を誇っている。そのイチゴ栽培で、戦場ガ原が大きな役割を果たしているといえば、不思議に思うだろう。
イチゴというと、クリスマスのデコレーションケーキを連想してしまうくらい、冬の果物というイメージがある。実際、私たちの口に入るのは12月から2月がピークである。しかし、もともとイチゴは、ふつうに露地で栽培すると、4月に花が咲いて5〜6月に実る、春から初夏の果物なのである。それを、促成栽培という早出し技術によって、イチゴを冬の果物に変えている。そこに、戦場ガ原が大きくかかわっているのだ。
イチゴを早く実らせるには、早く苗を植え付ければいいと考えがちだが、そこにはクリアしなければならない大きな問題がある。休眠というイチゴの生理である。イチゴの露地栽培の場合、10月に植え付けると気温が下降する冬に休眠に入り、気温が上昇する春に花を咲かす。イチゴにはこの休眠期間が絶対に必要で、根に養分を蓄える大切な時間でもある。
そこで考え出されたのが「山上げ栽培」という高冷地での育苗だった。夏でも涼しい戦場ガ原で育苗することで、イチゴに冬を擬似-ぎじ-体験させてしまおうというものだ。そのあとは、山から下ろしてハウスのなかで春を体験させればいいわけだ。
これが初めておこなわれたのが、昭和41(1966)年のことで、イチゴの苗1200株が戦場ガ原の開拓地に上げられた。山上げは8月中旬、そして山下げは11月中旬〜下旬だった。このときの品種はダナーだったが、現在、栃木県の中心品種となった女峰-にょほう-の場合は休眠期間が短縮されて約1か月の山上げですむようになっている。
現在、栃木のイチゴという呼び名が定着している栃木県産のイチゴも、最初は日光イチゴと呼ばれていた。この山上げ栽培にちなんでいると開拓地の人はいう。また、蔵王-ざおう-を利用した産地に仙台イチゴがある。
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男体山を背にした栃木のイチゴの苗畑
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女峰で知られる栃木のイチゴ
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